赤木文庫 とうだいき 上 13/17



いけれいたはしやれんし〔は〕□おもてのかわを見られつゝひたいにと
うたいをうちけれはよるひるのくるしみはなにゝたとへんかたもなし
物いはぬくすりをくちにふくめは物いふ事もあらはこそうきも
つらきもいふ事なしふるさとのこひしさはまとろむひまもあ
らはこそゆめになりとも見る事なしわかれしときくわいに
んせしかことゆへなくもむまれなははやいくほとにありつらん
いたはしやなきたのかたさそやなけかせたまはんとあけくれ物をお
もはれけるとにもかくにもかのれんしのこゝろのうちのあはれさな
にゝたとへんかたもなし
とうたいき   三たんめ
さてもそのゝちこれはさてをきさいしやうこくにをはします
きたの御かた此事ゆめにもしろしめされすあけぬくれぬとす
き給ふか月日にせきもりすへされは十月はんと申には御さんの』
(上八ウ)

ひほをとき給ふ御ことりあけ見たまへはたまをのへたることくな
るわかきみにてそをはしますみたひなのめにおほしめしおちや
めのとをあひそへてよきにやういくしたまへはみとせにはやく
なりにけりみたひおほせけるやうはさて/\ちゝこのましまさは
たくひなくあるらんとれんしこひしきをり/\これこそちゝのか
たみよとわかきみになくさみていまやおとつれまつらんとあけ
くれまたせたまへともまつにかひこそなかりけり見るたひ事に
わかこゝろせいしんするにしたかひてちゝのをもかけかはらねはこい
しさはまされともわするゝひまはなかりけりさなきたに人こゝ
ろこをおもふならいはいつれにかきりはあらねともいま一しほのなみ
たなりつなかぬ月日かさなりてわかきみもいまはや十三になり
給ふかちゝ〔をれ〕□□んしといひけれはやかてわかきみれんほとそ
申けるあるときわかきみ御はゝうへにちかつきていかに申さん』
(上九オ)


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