赤木文庫 とうだいき 下 05/16



へかへるとうら山しくいつかわか身もふる
さとへかへるへきとはしらすしてたひの
くるしさつかれにもはゝのみこひしくお
ほしめしまたせたまはんいたはしやとおもひ
やるこそかなしけれきしのやまふきいはつゝ
しみやまかくれのをそさくらのこるゆき
かとうたかはるまつにかくるゝふちなみのくさにま
きれのうのはなかさねをさゝかもとにさきつゝく
さみたれはれしとも山ほとゝきすをとつれ
てむかしわすれぬたちはなやほたんあやめか
かきつはたすみれうきくさはれかすみつ
ゆむすひそめあきしりかほにやをみなへし
ききやうかるかやわれもかふしをんりんとう』
(下三ウ)

はきのはなすゝむしまつむしくつわむしまくら
のしたのきり/\すこゑもやう/\かれ/\にうきよ
をかなしむこゑやらんわれともにそなきあ
かすやう/\ふゆにもなりぬれはあらし
こからし山をろしふりつむゆきに身はひゑ
てせんかたなふそおもひけるゆきゝの人の
あらはこそふるさとへはことつてせめしたひ
にあしはゆきにやけ御身もつかれたまひつゝ
くちきのもとにたをれふしいきもはや
たへ/\にまなこもくらくなりゆけはあ
はれはゝのいかはかりせいしたまひしに
たちいてしちゝにはあはすはゝにははな
れてみちにてはかなくならん事なに』
(下四オ)


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