赤木文庫 とうだいき 下 06/16



よりもつてかなしけれちやうごう
ならはふるさとにてものかるへき身
にあらねともはゝこのひさのうへ
にしてはかなくなりし物ならはせめ
てはよみちもこゝろやすくおもふへき
身のさはなくしみちにてはかなくなりたるとは
はゝこのしろしめされすしとし月をかそへ
つゝまたせたまはんいたはしやとたのむかたとて
はみたのみやうかうちゝの此よにま
しまさはめくりあはせてたひ給へ
もし又むなしうなりたまははひとつはちすの
ゑんとなさせ給ふへしふるさといてしこのかた
はみやうかうわするゝ事はなしたゝさいはうへ』
(下四ウ)

むかへたまへやなむあみたふつみたふつと十へんはかりとなへつゝし
たひにこゝろよわくなりすてにはかなくなり給ふかのわかき
みのこゝろのうちなにゝたとへんかたもなしかゝるあはれのをり
ふしすてにそのよもやはんはかりの事なるにいつくよりかはし
らねとも御そう一人まくらもとにたちよりてさて/\なん
ちはをやかう/\の物なれはちやうこうなれともかへすとてかう
はしきくすりを御くちにいれたまへはれんほすこしこゝろ
なをり御めをひらきたまひけりそのときにかの御そうわれ
をはたれとかおもふらんなんちかちゝか身をはなさすしんじ
あみたほとけなりなんちかちゝか身にかはりいまた此よにあるそ
かしわれしんつうにてあはすへしこれよりもなんかいこくへは
ほとちかしたいりにちゝはあるそとよそうなくはあひかたし
されはほとけうらんとてたからかにいふならは此せかいはむぶつ』
(下五オ)


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