赤木文庫 とうだいき 下 12/16



もつらきもかたりなくなくさむ事もなくたゝふるさとのこひし
きにもこゝろのうちにはみたのみやうこうとなへ申しるしに
やかゝるふしきに御たすけをかうふる事こそありかたけれ
さりなからそのうりたまひし御ほとけはわかあかまへしほと
け也われせんしやうにいてしときふさいにわたし申せしか
わかくをあはれみ給ひつゝこれまてけんし給ふかやさて又御み
はいかなる人そいつくよりかはきたりたまひてわれをたすけ
給ふそやありかたさよとてまつさめ/\となき給ふれんほ
此よしきくよりもつゝむとすれとしのひゑすちゝのたも
とにすかりつきしりたまはぬもことはり也これこそさいしやう
こくにてたいないにすてられし御こにて候へしかせいしんするに
したかひてみつからちゝの御ゆくゑをはゝこのかたりたまひつゝ
〔き〕□ゝをよひしをたよりにてあしにまかせていつれともおさ』
(下十ウ)

なきものゝ事なれはたゝはうせんとあるところにあれなる
ほとけの御むさうにていま又御身にあふ事はひとへにほとけ
の御つけそや又はちゝの御をんなりありかたさよとてふししつみ
てそなき給ふれんし此よしうちきひてさてははゝかたいな
いにてこゝの月と申せしにわかれしこにてありけるかたねまき
そめしなてしこのくさのゆかりをみるからにうつゝとさらに
わきまへすおやこもろともとりつきてうれしなきにそみ
へ給ふいたはしやなれんしはをつるなみたのひまよりもさて/\
なんちかはる/\とこれまてたつねきたれともあひみんかいこそ
なかりけりそれをいかにと申にとかあるものはそのけうちう
にしたかひてるさいしさいにためしおほきそのなか〔に〕□おもて
のかわをはかるゝ事せんたいみもんのためしなりいまたしな
さるそのさきに六たうへをちたれはいまはこしやうをたのみ』
(下十一オ)


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