紀要論文

紀要論文

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阪大日本語研究. 2010, 22, p. 65-90

日本語

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2010-02

言語と非言語行動（視線、表情、身振りなど）とを用いて情報を伝える行為を表現行動と呼び、表現行動に関するパターン化された傾向を見出すことを目的に、（主として）テレビの対談番組を資料に、言語のみならずその使用場面の映像・音声をも同時に参照できる「対談番組のマルチメディア・コーパス」を作成した。それによって、ある言語表現が、どの番組で、誰が誰に向かって話すときに、どのような視線・身振り・動作・表情とともに発せられたものか、またはそうした使用状況でどのような言語表現が発せられたかなどが、現実の大量のデータにもとづいて調べられるようになった。そして、実際にこのコーパスを使って、擬音語・擬態語と身振りとの関係や、終助詞「ネ」と視線との関係などを調べた結果、描写力が高いといわれる擬音語・擬態語の発話時ほど身振りが頻繁に伴うということや、「ネ」の用法によって視線行動に違いがみられるということなどが傾向として見出せた。これらは、従来の内省や実験観察的調査によって指摘されてきた内容に修正・補充すべきところがあることを指摘するものであり、同時に、表現行動研究におけるマルチメディア・コーパスの有用性を示すものである。ただし、表現行動の実態をより正確に知るためには、今後、本コーパスの改善のほか、他の資料によるマルチメディア・コーパスの作成が欠かせない。

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https://hdl.handle.net/11094/10048