紀要論文

紀要論文

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年報人間科学. 2006, 27, p. 1-14

日本語

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2006-03-31

本稿は、2005年度哲学会シンポジウム「空間と身体」の発表原稿である。本稿では、次のことが述べられる。 1)空間性や身体という問題系は、いわゆる〈生の哲学〉のなかでは基本的に、経験の直接性に対する阻害要因として否定的に扱われてきた。それは、〈生の哲学〉とパラレルな視点をもつ現象学においても同様であった。にもかかわらず、〈生の哲学〉は、根源的な時間性として提示される経験そのものの自己展開のためには、空間としての外延性を論じないわけにはいかない。そこで潜在的なものの現実化という図式がもちいられ、有機的な身体・空間論が定位される。〈生ける空間〉に関する議論はこの水準に定位される。 2)しかしこうした〈生の哲学〉の進展には、自身の理論展開に対して深刻な反省が突きつけられる。外延として提示される〈外〉の場面は、内包の自己展開によっては提示されえない異質さをもともとはらむものではないか。また、なおかつこうした〈外〉の場面を織り込むことなしには、〈個体〉という特異な位相そのものは確保されないのではないか。ベルクソン批判からドゥルーズ独自の理論構築へと繋がる〈生の哲学〉の展開において、時間の議論を軸に、空間性に関するこうした位相転換(〈死〉や〈他〉としての〈外部〉の内在化)が図られる。それはデリダやレヴィナスにおける、現象学批判とも同種の方向性をもちもする。 3)〈個体〉としての身体が論じられるのは、こうした〈外部〉の折り込みを経てのことである。そこで身体そのものを主題にするならば、〈外〉をある種の超越として維持する〈顔〉と、〈外〉そのものを産出する〈生殖〉としての内在的な身体機能とが重視されなければならない。レヴィナスはこれらの主題に触れつつ、人称性としての主体性の成立に人間的生の〈善〉をみている。他方ドゥルーズは、〈顔〉を世界史的契機に解消させながら、機械的・唯物的な他なる生の産出そのものから、倫理的な方向性をとりだしていく。これら両者の対比的な姿勢が最後に論じられる。

10.18910/25896

25896

〈生の哲学〉における身体・空間論の展開

檜垣, 立哉

大阪大学大学院人間科学研究科社会学・人間学・人類学研究室

日本語

2006-03-31

年報人間科学

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https://hdl.handle.net/11094/25896

10.18910/25896

https://doi.org/10.18910/25896