Ishida, Junichiro

Suen, Wing

weak pairwise-matching condition

minimum allocation

low types separate and high types pairwise-pool

選好の単一交差条件（Single-crossing condition）の仮定は多くのシグナリングモデルにおいて用いられているが、すべての経済環境がこの条件を満たしているわけではない。Chen, Ishida and Suen (2021)（以下 CIS）は Double-crossing 条件を提唱し、タイプが Double?crossing 条件を満たし、かつその分布が連続であるケースの分析を行い、均衡の特徴づけと均衡を導出するアルゴリズムを提供した。しかしシグナリングゲームの応用先を考慮すると、タイプが離散的に分布しているケースの分析はひじょうに有用であり必要不可欠である。本研究は CIS を離散的タイプモデルに拡張したものである。CIS と同様に Cho and Kreps (1987) の D1 基準に基づき精緻化された均衡（D1 均衡）を分析対象としている。離散的な場合の結果は CIS から直接得られるものではない。タイプが離散的な場合、エージェントが行動をランダムに選択すること、すなわち混合戦略を明示的に分析する必要がある。本研究で得られた結果は以下のとおりである。1) すべての均衡において、シグナリング・アクションは quasi-concave でありかつ weak pairwise-matching condition を満たす。2) タイプの数に関わらず、D1 均衡は常に存在する。1)における均衡の特徴づけでは、タイプが中間にあるエージェントは、タイプが低いエージェントや高いエージェントと比べ高いアクションを選択するという、Double-crossing 条件下における均衡の構造を明らかにしており、2)においては新たにアルゴリズムを構築することで、均衡の存在を証明している。また、本研究の結果は Counter signaling の分析に有用である。Feltovich et al. (2002) はタイプの数が三つの場合における Counter signaling の純粋戦略均衡の分析を行った。本研究はタイプ数が任意であり、かつ混合戦略も考慮した、Counter signaling を分析する一般的なフレームワークを提供している。

Ishida, Junichiro

Suen, Wing