ポカホンタス伝説としての山田長政物語 : 明治の小説から大映の映画まで

橋本, 順光

タイ国日本研究国際シンポジウム論文報告書, 2015, 2014, 157-175

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isjst_2014_157 pdf なし 3.93 MB 231 2023.02.09  

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タイトル
ポカホンタス伝説としての山田長政物語 : 明治の小説から大映の映画まで
A Japanised Pocahontas Narrative: Yamada Nagamasa in a Travelogue, Novel and Movie
ポカホンタス　デンセツ　ト　シテ　ノ　ヤマダ　ナガマサ　モノガタリ　メイジ　ノ　ショウセツ　カラ　ダイエイ　ノ　エイガ　マデ
著者
NRID
1000080334613 1000080334613
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Scopus Author ID
56995512600 56995512600
著者名
橋本, 順光 ; ハシモト, ヨリミツ ; Hashimoto, Yorimitsu
キーワード等
オリエンタリズム
ジョゼフ・コンラッド
『ロード・ジム』
ジェイムズ・ブルック
抄録
山田長政という海賊が、タイに渡って王妃をめとり「王」にまでなったとは、まるで『アラビアンナイト』の物語のようだと、英国の日本学者チェンバレンは『日本事物誌』(1891)の「船舶」の項目で記した。たしかに海国日本や南進論を宣伝する格好の人物として、山田長政は明治時代に重宝されるが、その発端は大鳥圭介の『暹羅紀行』(1875)とそれに啓発されたと思しいアーネスト・サトウの論文(1885)から始まる。明冶日本の公的使節として初めてタイを訪問した大鳥は、ボウリングの『タイ王国志』(1857)などを参照して、初めて長政をタイ史の人物と同定し、サトウは多くの資料にあたって、それを修正した。さらに長政の事績が不明なところが多いことも手伝って、英国人でありながらサラワクの王となり、それゆえ現代英国の長政ともいわれたジェイムズ・ブルックと、17世紀のポカホンタスの紹介とが、長政の物語化に拍車をかける。こうして山田長政物語は、日本では稀な異人種間ロマンスとして、いわば和製ポカホンタス物語として流通することとなった。これらの要素を集大成したのが、角田喜久雄の『山田長政』(1941)であり、実質、それにもとづく映画『王者の剣　山田長政』(1959)である。この映画のなかで、毒入りの酒と知りつつ、長政がそれを運命として飲み干す場面は、ブルックをモデルにしたジョゼフ・コンラッドの小説『ロード・ジム』(1900)で、理不尽な理由で殺されると知りつつ、現地へ向かうジムの最後と共通している。ここにおいて長政物語は、コロニアル・ファンタジーとしての周期を終え、異人種間ロマンスとしての要素は希薄となり、以降は日タイ親善のシンボルとして語りなおされることになってゆく。
出版者
チュラーロンコーン大学文学部東洋言語学科日本語講座
収録物名
タイ国日本研究国際シンポジウム論文報告書
International Symposiun on Japanese Studies in Thailand
巻(号)
2014
ページ
157-175
刊行年月
2015-03
言語
日本語
ハンドルURL
https://hdl.handle.net/11094/90016
関連情報 (isPartOf)
NCID
BA86498113
アクセス権
open access
出版タイプ
Version of Record
カテゴリ
学術雑誌論文 Journal Article