深層心理学誕生に至るヨーロッパ精神史の一側面に関する考察-近代科学成立期におけるキリスト教的神概念を軸として-

今村, 一成

大阪大学教育学年報, 2001, 6, 223-234

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タイトル
深層心理学誕生に至るヨーロッパ精神史の一側面に関する考察-近代科学成立期におけるキリスト教的神概念を軸として-
A Study on the Birth of Depth Psychologies in the Current of European Mental History - The Christian concept of 'God' in the period of the rise of modern science -
シンソウシンリガク タンジョウ ニイタル ヨーロッパ セイシンシ ノ イチソクメン ニカンスル コウサツ キンダイカガク セイリツキ ニオケル キリストキョウ テキ カミ ガイネン ヲ ジク トシテ
著者
著者名
今村, 一成
抄録
深層心理学の誕生をヨーロッパの精神史のなかに位置づけるための基礎研究として、近代科学成立期におけるキリスト教的な神概念に着目し、その変遷について考察することが本論の目的である。この目的のために本論では、ケプラーとニュートンをとりあげ、彼らと神学の関わりについて論じた。これにより、近代科学が必ずしもキリスト教と対立するものではなく、むしろキリスト教こそが近代科学を生み出す母胎となったという解釈も成り立ちうることを確認した。そのうえで、啓蒙期における理性尊重の気運のたかまりにともなう神概念の消失について、それが神概念の絶対性を人間の知性のなかに取り込むかたちでおこなわれたことを再確認した。しかしそのプロセスは正当に神を止揚したのではなく、神の存在の必然性の問題を一時的に保留したにすぎなかったとも考えられる。このことを示す徴候はニュートン力学にも見いだされ、近代物理学が20世紀に直面した転換点もまたそれを示していると考えうる。近代ヨーロッパの精神的営為のこうした転換点と時と場所を同じくして深層心理学は誕生し、科学と宗教の関係性において生じた問題点はまた深層心理学にとっても同様であることが指摘された。
出版者
大阪大学大学院人間科学研究科教育学系
オオサカ ダイガク ダイガクイン ニンゲン カガク ケンキュウカ キョウイクガクケイ
Department of Education, Graduate School of Human Sciences, Osaka University
収録物名
大阪大学教育学年報
Annals of educational studies, Osaka University
巻(号)
6
ページ
223-234
刊行年月
2001-03
言語
日本語
ハンドルURL
https://hdl.handle.net/11094/9176
DOI
https://doi.org/10.18910/9176
PISSN
13419595
NCID
AN1055404X
アクセス権
open access
出版タイプ
Version of Record
カテゴリ
紀要論文 Departmental Bulletin Paper
大阪大学教育学年報 / Vol.6