departmental bulletin paper

Departmental Bulletin Paper

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大阪大学歯学雑誌. 2021, 65(2), p. 23-28

古田, 貴寛

Japanese

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2021-06-30

総説

口腔顔面領域の触覚は我々の感覚機能における重要な一要素であり，そこには，例えば，食事の際の歯触りや舌触りなども含まれる。また，咀嚼時に舌などの口腔内組織を噛まずにいられるのは，鋭敏な触覚が運動制御と巧みに連動しているからに他ならない。触覚情報が神経活動に変換される仕組みは，視覚系の網膜や聴覚系の蝸牛などの知見が蓄積していることに比し，その理解が遅れていると言わざるを得ない。本研究では，ラットにおいて最も発達した口腔顔面触覚系であるヒゲ感覚を題材とし，ヒゲ毛包内に配置される末梢神経終末受容器の反応特性と形態学的特徴との関係を，軸索内記録／標識技術を用いて，単一神経細胞レベルで明らかにした。本研究で標識された終末受容器は形態学的に分類され，毛包の中ほどに位置するメルケル終末（RS-Merkel），毛包と皮膚の境界付近に位置するメルケル終末（RRC-Merkel），槍型終末，棍棒状終末，の4種類が解析された。RS-Merkel だけがヒゲを押している間持続的に活動し，他のタイプは押しはじめと離した瞬間だけ活動するということが分かった。記録された単一終末受容器ごとに，毛軸に対して終末受容器が配置されている位置と，強い反応を引き起こす刺激の方向との関係を調べたところ，RS-Merkel とRRC-Merkel は記録された終末が存在する方向にヒゲが押された時に強く反応することが分かった。この結果を説明する理論的モデルを構築し，シミュレーションを行ったところ，ヒゲの根元に伝わった力のうち「倒す方向」の力はメルケル終末（RS-Merkel およびRRC-Merkel ）に影響し，一方，「押し込む力」は槍型終末と棍棒状終末に影響を与えることが示された。三次元電子顕微鏡技術を用いた解析によって，こうした受容器タイプ間の特性の違いについて裏付けするデータが得られた。

84539

口腔顔面領域の運動と感覚を統合する神経機構 : げっ歯類ヒゲシステムを題材として

古田, 貴寛

大阪大学歯学会

Japanese

2021-06-30

大阪大学歯学雑誌

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https://hdl.handle.net/11094/84539